気管支喘息(成人・小児)

気管支喘息(成人・小児)について
● 気管支喘息とは?
 
気管支喘息は空気の通り道である気管支が、アレルギーなどで炎症を起こし過敏になります。何かの刺激で痰が出たり粘膜が腫れたりして気管支が狭くなります。そのため呼吸が苦しくなる慢性の病気です。
「ぜんそく」というと「小児喘息」「アレルギー」と思い浮かべる人も多いと思いますが、最近は成人にも少なくなく、アレルギー体質の人だけが罹る病気というものでもありません。


気管支喘息は常に症状があるわけではなく、時間・体調やストレスなどで強い発作が出たりします。ですから、医師に症状がうまく伝わらず、風邪と間違われ、診断が遅れることもあります。また、生活環境(ダニの除去など)・習慣を改善することで症状を軽くすることもできるので、医師の治療だけではなく、自己管理が極めて重要な病気です。

風邪をきっかけに激しい咳き込みや夜間に眠れないくらいの激しい咳き込みが数週間続く、風邪を引くたびに咳き込みだけがいつも残ってつらいなどのエピソードをお持ちの人は、実は風邪をきっかけに出現した喘息発作であることも案外多いのです。

● 気管支喘息の症状は?
 
多くの喘息患者さんはふだんは何の症状もなく暮らしています。しかし、何かのきっかけで急に息苦しくなり「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音(喘鳴)が出る発作を起こします。また、慢性的な咳・痰だけの人もいます。

発作には自分でもわからないような軽いものから死に至るような重症なものもありますので、大きな発作を起こしたことがある人は注意が必要です。

夜間から朝方の時間帯に具合が悪くなる人が多いのも特徴です。病院に受診する頃には良くなっていることも多いので、発作時の症状を担当医によく説明してください。

● どのような治療をするの?
 


薬による治療は発作を起こさせないための治療と発作時に症状を抑える治療の2種類あります。ずっと長期に治療をしなければならない人もいれば発作時のみの治療でいい人もいます。

医師の指示に従っても症状(発作)が良くならない人は、入院治療が必要となることがあります。

<発作予防薬>

 吸入ステロイド薬
ステロイドと呼ばれる炎症を抑える薬の吸入薬です。現在の薬物療法の中で最も重要視されている薬です。1日1~2回、小型のスプレーを使って吸ってもらいます。効率よく、そして副作用を減らすためにスペーサーと呼ばれる吸入補助具を必ず用いてください(患者さんが希望すると薬局で薬と一緒に渡されます)。

 内服薬 
内服薬にはテオフィリン製剤やベータ刺激薬などの気管支拡張薬、抗アレルギー薬、炎症を抑える内服ステロイド薬などがあります。それぞれ症状や体質に合わせて処方されます。
その他、去痰薬や漢方薬が処方されることもあります。

<発作改善薬>

吸入ベータ刺激薬
気管支を即効的に広げる作用があります。小型のスプレーから吸う場合とネブライザーという機械で細かい霧にして吸う場合があります。

● 自己管理は具体的にどうするのですか?
 


(1)生活管理

アトピー型と呼ばれるアレルギーの傾向が強い人では、環境整備が重要です。原因物質がはっきりしている人は、その原因物質を取り除くことが大切です。室内の清掃や布団などの寝具の管理・ペットの管理など必要です。また、季節や天候で症状が出現する場合がありますので注意が必要です。

食事や喫煙もコントロールを悪くする要因となることがあります。
寝不足やストレスも症状を強くする要因となることがあります。

主治医と相談し、特に注意する点を確認して生活管理を行いましょう。

(2)喘息日誌・ピークフロー管理

喘息は症状が日によって時間によって変化しますので、受診した時には本当の病状がわかりません。日誌をつけることによって、受診時以外の病状が主治医にも把握できたり、治療の効果・発作の誘因(寝不足・飲酒・気候など)を患者さん自身でも評価できたりします。

このとき重要な項目としてピークフローがあります。ピークフローはピークフローメーターという簡単な器具を使用して息をどれくらい勢いよく吐けるかを測定します。この値は喘息の重症度と相関します。高血圧患者さんの血圧測定・糖尿病患者の血糖測定とおなじように自己管理に役立ちます。中には「苦しい時がわかるから測る必要はない。」という患者さんがいますが、症状と重症度が合わない患者さんもいるため自己管理には極めて有用です。薬を減らしたり、発作時の内服方法を決めたりするのにも役立ちます。そのため受診回数や入院を減らすこともできます。

☆喘息の症状が落ち着かないと心配な方は主治医に相談して喘息日誌をつけてみてください。