耳の病気

● 中耳炎について

● 中耳炎とは?
 
耳は外耳・中耳・内耳の大きく3つの部分に分けられます。
このうち鼓膜の奥にある空洞になっている部分を中耳と言い、中耳炎はここに炎症が生じることによって起こる病気です。
子供に良く見られるのは、急性中耳炎と滲出性中耳炎です。

● 急性中耳炎とは?
 
急性中耳炎は、子供の感染症の中で最も多いものの一つです。風邪が原因であることが多く、鼻やのどに付着したウイルスや細菌が、耳管という細い管を通って中耳に入り感染することにで起こります。
特に、乳幼児では、感染に対する抵抗力が弱く、耳管が十分に発達していないため、ウイルスや細菌が侵入しやすくなります。そのため、急性中耳炎になりやすいのです。

● 滲出性中耳炎とは?
 


中耳に水(分泌物)が溜まり、鼓膜の振動が悪くなるために耳の聞こえが悪くなる病気です。次のような時に起こります。

☆ 風邪や急性中耳炎により、中耳に分泌物が溜まる
☆ 鼻の奥にある耳管咽頭口(耳管は鼻と中耳をつなぐ管)がアデノイド(咽頭扁桃)の肥大などで塞がり、中耳内の気圧の調節ができない。
☆ 急激な気圧の変化(飛行機に乗る・ダイビングなど)を受け、中耳の気圧の調整が出来ない。
☆ 耳管の働きが低下している。

● 急性中耳炎の治療法にはどんなものがあるの?
 


<薬物療法>
原因となっている細菌の増殖を抑えるために抗生剤(内服薬や点耳薬)を投与します。症状が重い時は、点滴を投与することもあります。熱や痛みが強い時は、解熱薬や鎮痛薬を投与します。

<鼓膜切開>
中耳に膿(うみ)が溜まった時は、鼓膜を切って膿を出すようにします。鼓膜は切っても自然に穴は塞がりますから心配いりません。膿が出た後は、清潔にして、完全に治るまで抗生剤を投与します。

● 滲出性中耳炎の治療法にはどんなものがあるの?
 
滲出性中耳炎には様々な段階があり、患者さんによって治療法が異なりますが、主に次のような治療を行います。

<局所治療>
・耳管通気:鼻から空気を送り込んで、耳管の通りをよくする。
・鼻咽腔処置:中耳炎の原因となっている鼻の病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)を改善させる。

<薬物治療>
・抗生剤:マクロライド系抗菌薬は抗菌作用のほかに、滲出性中耳炎の炎症を抑えます。
・粘液溶解薬:分泌液をやわらかくし、耳管から出やすくする。

<外科治療>
・鼓膜切開:中耳に溜まっている分泌液を出す。
・鼓膜チューブ留置術:再発を繰り返す時に行う。
・アデノイド切除術:耳管を塞いでいるアデノイドを取り除く。